本日、おいらは姉に頼まれた郵便物を中央郵便局で投函せねばならないという使命を帯びていた。
が、自分の用事で家を飛び出したおいらの手には、郵便物はなかった。
駅の改札をくぐった時にそれに気が付いたおいらは、ちょっとの間悩んだ・・・。
時計の針は今から取りに帰っていたら、予定の電車に乗り遅れる時間を指している。
・・・ふかこうりょくだよな?
・・・ああ、しかたがなかった。
おいらの脳は、誰とというわけでもない会話しつつ、巧妙な言い訳とともにうやむやにしてしまおうとしていた。
が。
珍しく残っていた良心がこう言ったのだ。
電車を一本遅らせれば良いじゃないか。急げば用事にも間に合うさ。
それもそうだ。
おいらは改札から飛び出ると家まで走って帰り、玄関先で(そう、忘れないように玄関先に置いてあったのだ)荷物を掴むと、またダッシュで駅まで走っていった。
目の前を予定の電車が走っていったが、仕方ない。次の電車に乗って、おいらはまず中央郵便局を目指した。

そして、そこではトラップが待ち受けていたのだ。

おいらは郵便局内の定形外のポスト口に預かっていた郵便物を投函しようと試みた。
が。
入らない。
後5ミリというところで、ポストの口は郵便物を受け取ることを拒否しやがったのである!
後5ミリ!
方向を変えて再トライ。
もっぺんトライ。
別方向からトライ。
くるくる回しながらポストの口に郵便物をガツガツ押し当てるおいら。
しかし入らんのだ。
仕方が無いので、郵便局員ひっ捕まえて預けてしまえ!と思ったのだが、どこの窓口も人でいっぱいで「すいませ〜ん」と声をかけるおいらに答えてくれる人は誰もいなかった。
じ・・・時間が無い・・・。
そうである。すでに一本電車を遅らせているのである。急いでいかないと、遅刻してしまう。
あせるおいらの目に、ふとポストの口の後ろに見えるかごが入ってきた。
あれはポストから入れられた定形外の郵便物を受け取るかご・・・。
じゃあ・・・じゃあさ。
あれに入れれば良いってことよね?この郵便物!
エウレカである。
何もポストの口から入れなければならないという法は無い!
どうでもあれに入れれば良いんだ!
しかし、己の身長ほどもあるポスト口の高さを乗り越えて、あれに郵便物を入れる方法って何だ?
一瞬悩むおいらの目に、局内テレビから流れる高校球児の姿が入ってきた。
熱闘甲子園である。

遠く高く離れた定型外用かご。
そして熱く戦う高校球児達。
その心は!!!!!

その時、おいらは高校野球の外野手となり、三塁ランナーを仕留めるべく、遠く高く送球を送った・・・・・・・・・。

カチャン・・・・

大歓声とともに、おいらの送球は吸い込まれるようにキャッチャーミットおさまった。

成し遂げた快挙に胸をはり、意気揚々と郵便局を後にするおいら。
そんなおいらの心の中では、ちょろのすけ高校校歌が鳴り響いていた。

校歌で必死にかき消そうとしているひとつの疑問『・・・あれって割れ物じゃないよねぇ・・・?』を抱きつつ・・・。

コメント

nophoto
Reni
2014年6月26日4:08

That’s a clever answer to a tricky quteoisn