前日の夜、それは突然やってきた。
胃が痛いのだ。
ずっと胃の調子が悪いなぁと思っていたのだが、これほど強烈になるとは思ってもみなかった。
それどころか、体がだんだん動かなくなる上に気分が悪い。
これは風邪の症状に似ているぞ?と思ってたら、案の定、夜通しトイレの住人になる羽目になってしまった。
「もう一生ここに住む〜〜」
そんな気分である。
今回痛感したのは、腹筋が強く、ボイストレーニングの成果か喉を開けるのが上手いと吐きやすいということである。
つまり、送り出しと通路がきっちり確保されていると、スムーズに出て行ってくれるということである。

人間やはり体を鍛えておく方が良いという話である。

しかし、鉄の胃袋を自称しているちょろのすけであるが故に、初めてきた「胃にくる風邪」には衝撃を受けた。
なにしろ、体調が悪くなると大量に物を食べだす野生体質の人間である。
それが食べれない!
食べれないと言うことは、すなわちおいらにとっては生物的衰弱を意味する!!
ぐわぁぁぁ!おいら!もうだめぇ?

怪我にはつよいちょろのすけだが、病気にはめっぽう弱い。
特に胃が食べ物を受け付けなくなると、野生の血が外敵から身を守れなくなる!と警告を発してきて、妙に怖くなってきてしまうのだ!!

・・・この際、外敵がなにかという疑問は横に置いておく。

それでも仕事がある。
受講生が待っている。
午後からのPC初めて教室ぐらいなら、受付のスタッフさんでも十分やってもらえるからいいが、午前中はWord上級1回目である。
い・・・行かねば・・・。
おいらは痛む節々(熱があるらしい)と、もしかしたら講習中に吐いちゃうかも・・・という恐怖を背負いながら、それでも女の心意気『7センチヒール』を装備して、ロングコートをはためかせて出勤した。
働くガチンコ商売の女は、根性入れて戦場に行くのだ。
おいらの仕事への心意気は、常にオンステージ!受講生との戦いなのだ!!
弱っているところを見せては、野性の世界では生きてはいけぬのだ!!!

弱ってはいてもガツガツヒールを鳴らして、おいらは道を歩いていた。
ちょっとまずいかな〜、めまいがするよ・・・などと思いながら歩いていると、横の横断歩道を渡ってくる3人の黄色い頭の日本人が目に入った。
3人とも似たようなタイプである。
金髪に髪を染めてはいるが、ハリー・ポッターに出てくるドラコ・マルフォイ君のお取り巻き連中みたいな小太りで、身長も高くない。
年の頃は16〜18歳。
金髪が似合っていないと、誰か忠告してやれ!友人なら!とか思いつつ通り過ぎようとした時、真ん中の男の子が綱を持っていることに気がついた。
右端の子はゲージを持っている。
そして足元には・・・
マルチーーーーーーーーーーズ!
可愛いふくふくフカフカまるまるのマルチーズである。
顔だけ見ていたら、4人兄弟のようである。
少年たち、ちょっとは痩せろ。

あら?カワイコちゃんマルチーズ♪と思って通り過ぎようとした時、マルチーズがおいらの後をついてこようとした。
おうおう、可愛いのう。

「おい!お前どこ行くつもりやねん」
綱を持っている少年が、マルチーズに話しかけた。
すると・・・

「そら、綺麗なお姉さんについていくつもりやねんな〜〜〜♪」

と、左端の男の子からのコメントが!!!

き・・・
きれいなおねえさんですかぁ?!!
おいら?
ねぇ?それ?おいら???
おいらですかぁ?
この半死半生でヘロヘロしているおいらが!!おいらが!!
きれいなおねえさんですかぁ??!!!

背筋しゃき〜〜〜〜ん!
気合じゃき〜〜〜〜ん!!

たとえルックスがドラコ・マルフォイ君のお取り巻きレベルでも、ティーンエージャーに『綺麗なお姉さん』呼ばわりされたとは、おいら!まだまだいける!!!!←なにが?
そうよ!これぐらいの熱で!風邪で!胃痛で!吐き気でへばっていてはいかんのだ!!
綺麗なお姉さんは、これぐらいで尾羽散らしてはいかんのだ!
見てろ!金髪小僧ども!

これがおいらの生き様だぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜!!!

午前中の講習、無事クリア。
午後もいけるか?と思ったが、念のため早退。

ありがとよ!小僧ども!
お前らのおかげでおいらは踏ん張れたぜ!へっ!!

しかし、効くねぇ。
年下男からの褒め言葉は!!!!(しゃき〜〜ん!)

コメント