愚者の選択2

2001年6月20日
ちょろのすけは十薬が好きだ。小さい時から家のお茶といえば十薬か柿茶だった。ひいじいさんまでいた家なので、漢方薬屋で買ってきて、それを煎じてお茶として飲んでいたのだ。
だもんで、それなりのお年頃になるまで、麦茶やほうじ茶みたいなもんだと思っていた。

さて十薬。正直言って、他の物をブレンドして美味しくしました、なんちゅー邪道な十薬では話にならんぐらい、どくだみ風味が大好きなおいら。近所の漢方屋が店をたたんで、ちょっと離れた所でひっそりと営業を再開したとなっても、散歩がてらに15分ほどの道のりをとことことことこ歩いていく。ひたすら美味しい十薬のためである。
ところが、今回買い求めた十薬は味が違った。前の物と同じメーカーの(なんちゃら薬草研究所とか書いてあったような気が)同じ袋の同じ十薬のはずなのだが、袋を開けても、あのほんのり甘い香りが(いや、こう感じるあたりで終わっているのか?)しないのだ。妙に乾いた臭い。
しかし、煮出したら十薬だろうと思い、鍋にぶち込む。(おいらはいつも鍋で沸かす。お茶葉取り易いから)ぐつぐつぐつぐつ・・・
しかしいっこうにあの芳しい十薬臭がしてこない。心なしか色も薄い。いつもと同じ分量入れているのに、おかしいなぁ。そして味といえばもちろん、見た目と同じで十薬の水割りのような、妙な味だったりする。

こりゃあかんやろう?

おいらは思った。
そんなことが2度3度となるといい加減腹が立ってくる。うすうすこの十薬が古いんや・・・とわかり始めてはいるのだが、なんとかして美味しく入れれんものかと眉間に皺がよる。この年齢になってくると、皺のできそうな行動は慎まねばならんのだが、まずい十薬など飲み続けたくはないので、やはり眉間に皺がよる。

そうだ!薄いんやったら倍入れたらいいんや!

とっさの閃きは、心の奥底にいる常識に『んな分けないやろうが!飲めんモンができるやろう!』と怒鳴りつけられたにもかかわらず、大いなる誘惑に促され、行動へと変わった。
これでちゃんと味のついた十薬茶になるわ〜。
もう十薬の水割りじゃなくなるのね〜。
確かになった。
味のしっかりついた十薬茶になった。
見るからにしっかりとした味がついていそうだった。

ヴィジュアルで言うと『魔女の鍋』

ぐつぐつぐつ・・・。
味もなんだか毒殺テイスト。
常識は正しい。
飲めんモンができてしまった。
でも・・・
でもさぁ・・・・
ほら!水で割ったら飲めんことないし!!!!

結局、十薬の水割りかい!!!!

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