仕事帰りのおいらは、最寄駅で下車し、高架を家の方向に降りていた。
ちょうど階段の途中にきた所で、女の人が途方に暮れたように下を向いて立っている。
その様子から,おいらはピピ〜〜〜ンときた。
「コンタクトですか?」と聞くと、女の人は「そうなんです」と力なく答えた。
さもありなん。
この階段はちょうど上の踊り場が影になって、明かりが当たらないのだ。
片方のコンタクトを落とした身では、とっぷり暮れたこの時刻、探すのは不可能だ。
おいらはコンピュータの仕事についてから、自分ではもう見えなくなるかもしれないと思うほどに目が悪くなったが、いまだ両方とも2.0の視力を誇っている。
以前が一体どれほどだったのか、正直謎である。
もっと正直に言うと、自分でも知りたい。
一体おいらの視力はどんだけあったんや〜〜〜!
さておき。
おいらは俄然張り切った。
「探しましょう!」
「あの…少し水色がついているレンズなんです」
ばばっと下と向くと………あれ?わからん。
ちょいとしゃがんで探しても、分からん。
なんですと?
おいらの視力は良かったはずだ。
ほしたらこれは『鳥目』ってやつぅぅぅぅ????

ちょっぴりキュートにあせりながら、必死に探すおいら。
すると彼女の右足ぎりぎりのタイルのくぼみにコンタクト発見!
「あ!」
「ありましたか?!」と喜び勇んで動こうとする彼女。
アホウ!動くな!…とも言えず、とっさにくぼみに手を伸ばした。
「ここに落ちているんですよ。動かないで。」
必死にコンタクトを取ろうとするが、なにせ彼女の左側にいたおいら。
腕は彼女の両足を越した向こうに伸ばされているので、とり難い事甚だしい。←もちろんいい訳である。(にやり)
おまけに彼女は今や遅しと待っている。
ついでにおいらの腕に遠慮して、今にも動きそうな気配がちょっぴり怖かった。
あせったおいらは、付け爪と間違われるほどの爪を「えい、や!」とコンタクトの下に潜り込ませた。
その時コンタクトだけでなく、小さな石もおいらの爪の上に乗っていたのだ。
そんなんわかるかい!
とれた!と思ったおいらは、他の指で挟むようにコンタクトをすくいあげた。

…ぱち


人が完全に固まるところを初めて見た。

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