その日の夕食は、とある人を交えての外食だった。
前々から兄が言っていた、小龍包の美味しい店だっだ。
おいらは期待していた。
非常に期待していた。
その昔、美味しんぼを読んでハフハフほろほろしながら食べる小龍包の魅力にとりつかれてから、ずっと夢見てきたのだ。
スープがたっぷり入った小龍包。

そしてその小龍包が目の前に!!
おいらは興奮した!
そして興奮のあまり、出てきたばかりの小龍包を器用にレンゲの上に乗せ(こういう事だけ器用なんだな…後は不器用だが)一口で口の中に!!!

じゅわ〜〜〜〜〜〜じゅわわわわ〜〜〜…(スープが口の中に広がる音)

!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

ぎょわうおえぎょえうわおえうあう〜〜〜〜〜〜〜!!!

ノウ!ノウ!ノォォォォォォォォォォ!!!!!!

熱熱熱熱熱熱熱激熱熱烈熱熱熱熱超ド級熱熱熱熱熱熱熱熱熱熱!!!!!

吐きそうになったおいらの隣には、ゲストが座っている!
そして妙につめ込まれたこのテーブル配置では、隣のお子様連れやその向こうのおばちゃんグループの注目の的になってしまう!!
吐けぬ!
ここは一度も吐けぬ!!(んん!漢だ!おいら!!)
しかもあまりの熱さゆえに、おいらの体はフリーズ状態。
吐くどころか口を開けてハフハフと空気を口に送り込むことさえできなかった。
ただじっと舌が焼けていく感触を味わっていたのだ…。
スープが小龍包からあふれ出てくるその侵食と同じに、舌の上に広がる熱い痛み。
もう…もうダメかもしれない…。
そう思ったその時!!!

前頭葉のあたりで昔お稚児さんの格好で町を練り歩いていた時のおいらや、運動会で体操服に鉢巻しているおいらが、順々に浮かんできたのであった。

ああ、これを走馬灯というのね…。
ふふふ、おいらにもこういう時期があったのね…。
回る〜〜回るのね〜おいらの人生〜〜〜〜。

幸いというか、当たり前というか、熱いスープも時間がたてばそれなりに冷めてくる。
小龍包のスープも然りである。
なんとか飲み込めるレベルまで来た時に、おいらは最後の力を搾り出して熱いそれらを一気に『ごっくん!』する事ができた。
ああ、危ないところだった。
さすがにウケ狙い人生のおいらでも、小龍包にて人生の幕を引く事にはチャレンジしてみたくはない。
熱さとは別の嫌な汗かいちゃったぜ。
人生の小さな罠や落とし穴には気をつけるようになっていたが、こんなところに大きな穴が開いているとは思わなかった。
恐るべし!小龍包!!!!
貴様なかなかやるな!(びしぃ!)


この間約10秒。
周囲の人はおいらがそれなりに熱がっていたことも、舌を火傷した事も分かってくれてはいたが、人生終わりかけた事など知る由もなかった。
ちゅーか、体がショックでフリーズ状態に入った時、表情まで固まってしまっていたようだ。
そして多分その時に回っていたのだろう、走馬灯が。
遠くに行っていただろう、おいらの魂。
戻ってこれて本当によかった。
そう思いつつ、今度からはどんなにおなかが減っていても、出された小龍包は2分はおいてから食べるべしと肝に銘じるちょろのすけであった。

コメント

nophoto
Giovanna
2014年6月26日16:07

I’d verunte that this article has saved me more time than any other.

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