英語石つぶて

2003年8月9日
おいらはお盆明けから英会話教室に行く事になった。
以前、時間と金額で折り合いのつきそうなプログラムを見つけたので、イッシッシに行ったのだ。
受付のお姉さんと話をしているうちに、おいらが見つけた時間と金額の折り合いのつく期間限定プログラムは超初心者用の旅行英会話だから、おいらが入っちゃイカン!と却下された。
いや〜おいら、会話へたれなんですけど〜、と自己申告しても取り合ってくれない。
「問い苦」だの「問いfull」の点数を聞かれても、テストや検定と名のつくものは職業上取っておいたほうがいいものすら取っていないのだから、今まで必要性のなかったものなど取っているはずがない。
仕方がないので、恥と知りつつ自分の英会話の問題点を告白してみた。

どうやら脊髄で話しているらしいんですよ。

ウケた。

大阪者としては、本懐に近いリアクションを引き出せたのだが、如何せん英会話教室でウケをとってどうする。

というか、真剣に相談したつもりだったのだが。

英会話初心者レベルと自己申告するおいらと水掛け論(あるいは漫談)に陥ったと思ったのか、受付のお姉さんはある提案をおいらに持ちかけた。
「じゃあ、ちょろのすけさん、私と英語で会話してみましょうよ。」

実は今までちょろのすけが英会話教室にあまり通いたくなかった理由は、これなのだ。
なんで日本語が通じる相手と、もどかしくもたどたどしく英語で話をしなきゃならんのだ!と。
英会話のネイティブ教師だって、日本で生活しているんだ。片言程度の日本語ぐらいはできるだろう。
そんな相手に、なんで片言以下のおいらの英語で会話せにゃならんのだ!!
もっと合理的かつ効率的に意思の疎通を図ろうよ!
通じてこそのコミュニケーションだろうが!!
そんなことを考えてしまうのだ。
ということで、ついつい英会話教室から足が離れてしまうのだ。
ダメダメ君である。

さておき、
そういうシュチエーションになってしまうと、やはりこれはしゃべらなくてはならない。
話した。
10分ぐらい話しただろうか、受付のお姉さんが言った。
「ちょろのすけさん、話せるじゃないですか!時々時勢があっちいったりこっちいったりしているけれど、単語が出てこなかったら違う言葉で代用させたりして、コミュニケーションスキル高いですよ!普通の人は話せないですもん!」
コミュニケーションスキルは普通の人より高いかもしれんが、英語のスキルは中学生以下である。
「たいていの人は失敗を恐れて話せなくなるんですよ。どうしても頭の中で完全な文章を組み立てて、それが合っている事を確認できなければ話せないんです!でも会話ってそんなものじゃないですよね!ちょろのすけさんは、ちゃんと会話スピードで話しているんですよ!」
受付のお姉さんはテンション高く褒めてくれ、その挙句
「うん!わかりました!時間はこのコースのこういうのに参加してもらえば、ちょろのすけさんのような方でも十分対応できると思います。そして金額もおっしゃる金額でさせていただきましょう!」
と、おいらの希望を全面的にいれてくれた。
ほじゃまぁ入るしかないか。
ちゅーことで、まずは無料体験から入ることにした。

だが、お姉さんはわかっていない。
おいらがどうして会話スピードで話すことができるのか。
それは頭の中で英語の文章を組み立てることができないからである。
その程度の知識がないので、組み立てようとすることすら無駄なのである。
それどころか、自己申告した通り、おいらは脳みそを使って話してはいない。
脊髄を使って反射で話をしているのだ。
だから思いついた単語を片っ端から口から垂れ流しているだけなのだ。
つまり、拾った石がどんな石で、大きさはどんなんで、これを投げたらどういう結果が起こるのか、全く気にせずに、手当たり次第に会話相手に投げつけている状況なのだ。
アホたれである。
おサルさんである。
拾ったら「うっきゃ〜!」の掛け声だけは逞しく、訳もわからず石を投げるおサルさんなのである。
しかも全力投球するものだから、あっという間に英語スタミナが尽きる。
燃え尽きるのが早いのである。
焚き火で言うなら、新聞紙的英会話。
いつかこれが改善される日が来るのだろうか・・・。
遠い目をしながら、イッシッシを後にした。

帰り道、それが英語ではないと知りながら、頭に浮かんだドイツ語を口から出しつつ、オーストラリアのホテル従業員と延々話込んでいた母親の姿を思い出した。
あの人も拾った石を確かめもせずに、相手に投げつける英会話(?)をする人であったなぁ。

自分の英会話習性がどこからきたのか、分かったような気がした夕方であった。

分かったからといって救われる訳ではない。

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